建物が新しく!「川村カ子トアイヌ記念館」リニューアル(旭川市)

1916年に川村イタキシロマが開設した施設資料館が前身であり、アイヌ文化の資料館としては日本最古とされる「川村カ子トアイヌ記念館」(旭川市)の建物が新築され、2023年7月にリニューアルオープンしました。

川村カ子トアイヌ記念館入り口写真

1階にはアイヌ民族が使っていた生活用具や衣装、2階には木彫り熊やアイヌの伝統彫刻品を製作している彫刻家・藤戸幸夫氏の作品が展示され、見応え満点。じっくり見ていると、あっという間に時間が経ってしまいます。

館内写真1
見応えのある館内

また体験メニューもあります。人気はムックル演奏や舞踊。これらを通して、無形民俗文化財に指定されているアイヌ古式舞踊を、気軽に学ぶことができます。

 

4代目館長が就任。残して伝えていきたい

リニューアルと同時に館長が代替わりし、現在、4代目を務めるのは3代目の故・川村兼一さんの息子・川村晴道(はると)さんです。

川村晴道さん写真1
優しい笑顔の晴道さん

「父はパワフルで元気な人だったので、自分が継ぐ自覚はありつつも、どこかでずっと館長でいてくれるような気がしていました。自分がやろうという意識が芽生えたのは、亡くなった後ですね。記念館のことも旭川のアイヌのことも、誰かが残して伝えていかなくてはならないという意識が芽生えました」と晴道さん。

川村晴道さん写真2

一時期、旭川を離れていたこともあり、儀式以外のことで兼一さんから教わったことはほとんどなく、「イナウ(注意1)の材料を一緒に取りにいったのが最初で最後。もう少し習う機会があったかもしれないな、と少しだけ後悔の気持ちがあります」。

伝統彫刻にも楽しく挑戦

必要なことは、兼一さんにゆかりのあった人たちに習っており、前述の藤戸さんには彫刻の手ほどきも受けています

「藤戸さんは技術力がものすごく高いだけでなく、人間としての器も大きい方。自分がとても小さく感じます。〝少しずつ楽しんでやっていこう。楽しまないと損だよ〟とアドバイスをもらっているので、楽しくいろいろ彫っています」。

彫刻写真
晴道さんの作品

今後は記念館を広く活用していくことを考えています。

「アイヌが集まる場所って案外ないので、ここで集まって宴会してもいいですよね。あとはステージや音響設備がそろっているから、アイヌじゃない方々ともライブとかやってみたいかな。若いアイヌも出てきていますし、館長として、記念館と一緒に成長していくつもりで頑張ります」。

注意1)イナウ…アイヌの宗教儀礼に使う幣帛(へいなく)。元々はミズキだが現在はヤナギを使っている。

(聞き手/ライター 孫田二規子)


川村カ子トアイヌ記念館

  • 住所:北海道旭川市北門町11丁目
  • 営業時間・休館日:9時から17時、無休(12月から4月は毎週火曜日) 
  • 入館料:大人800円
  • 体験プログラム料金:ムックル演奏体験ひとり3000円、舞踏体験ひとり2000円 ※2名から、要予約