上川アイヌのストーリーを五感で感じる2日間
2020年9月12日(土)から「日本遺産を体感する旅」と題した1泊2日のモニターツアーが開催されました。対象は札幌市在住の小学生と保護者1名の親子。アイヌに関する体験ツアーへの参加はもちろん、上川地方に行ったことも初めてという親子、10組20名が札幌駅に集合しました。
コロナ禍の中での開催という、とても難しい状況ではありましたが、マスクの着用や消毒・換気の徹底、密にならない行動など、基本的な感染症対策を万全に行うことで、安心してツアーに参加いただけたようです。
ツアーで最初に訪れた場所は「神居古潭」。ここは大雪山系から流れる支流が1つの石狩川になる急流地帯。札幌方面から来ると旭川・上川の玄関口にあたる場所です。
上川地方の歴史や文化に詳しい、旭川市教育委員会の友田さんが神居古潭に伝承されている魔人伝説を丁寧に説明してくれました。友田さんはツアー終了まで何度も登場してくれた、ユーモア溢れる優しい方です。
英雄神「サマイクル」に切られた魔人(ニツネカムイ)の「胴体」を説明している様子。
この植物はアイヌの人の歯ブラシなんですって!
冒頭から一気にアイヌの世界に突入したツアー一行。より詳しく学ぶため、次は「旭川市博物館」へ足を運びました。
旭川市博物館ではアイヌに関する展示や説明が以前よりも増え、より身近な存在として感じられるようになっています。子どもたちの真剣な眼差しに、友田さんの説明もヒートアップ!
昼食休憩後も参加者の学習意欲は高まる一方。次は博物館の入り口にも展示されていた、上川アイヌにとっての聖なる山「嵐山」へ向かいました。
嵐山は旭川市の郊外ですが、とっても豊かな森が広がっているエリアです。ここには、上川アイヌの先人たちの活動を顕彰する石碑や、復元されたアイヌの住居「チセ」を見学することができます。和人の住居よりも温かいというチセの秘密に参加者も興味津々でした。
旭川市内を巡る体験ツアーの締めくくりとして、「川村カ子ト(かねと)アイヌ記念館」で、普段の生活では絶対にできないアイヌ体験を行いました。案内してくれたのは副館長の川村久恵さんです。
アイヌ語の挨拶や歌を教えてくれた後、室内組と室外組に分かれて、楽しいアイヌ体験のはじまりはじまり。室内組は、親子ねずみがかわいい動きで自分に注意を引きつけながら、そのスキに紐の輪っかから手を入れてオヤツを盗み取るというゲームを実施。
館の外では、男の子だけでなく、女の子にも好評だった弓矢体験を行いました。
朝から夕方まで旭川市内を巡り、色々な学びと体験を重ねたので、参加者はくたくたに。宿泊地の層雲峡オートキャンプ場までの移動時間はみなさんゆっくりお休みになられたとか。
今回のツアーではホテルに泊まりません。折角自然豊かな上川町まで来たのですから、コテージやテントに分かれてのアウトドア体験を存分に楽しんでもらいました。
BBQも済んで、ようやく1日が終了。。。と、思いきや、森の中からアイヌの人たちが。突然の訪問に驚きの声が上がりました。アイヌの人たちは弓の舞など、古式舞踊を披露してくれただけでなく、一緒に踊ろうと声をかけてくれました。都会では見られない闇夜の中で、異空間にいるような不思議体験の時間となりました。