旭川市の嵐山は、上川アイヌにとって聖なる場所です。現在でも年に一度、伝統儀式「チノミシリ・カムイノミ」を行っています。
「チノミシリ・カムイノミ」は、神々に一年の無事を感謝し、これからの一年の幸せを願う儀式です。2019年は6月に、例年通り「嵐山アイヌ文化の森 伝承のコタン」で行われました。
火の神や幸せの神、土地の神などさまざまな神さまへの祈りのあとは、上川アイヌの人権と生活を守った偉人クーチンコロの顕彰碑や、木彫熊の開祖、松井梅太郎の顕彰碑の前でも祈りを捧げます。
嵐山は古来より上川アイヌが神々に祈りを行う聖地であり、自分たちが手をかけた動物などの霊を神々の世界に送り返す「送り場」でもあります。
チノミシリカムイノミを日本語に訳すると、チ=私たち、ノミ=祈る、シリ=山、カムイ=神、ノミ=祈る。
現在も聖なる祈りの地として受け継がれています。
文)ライター孫田二規子