14組の親子がカムイの世界に触れた2日間
2019年10月12日と13日の2日間、小学生と保護者1名を対象にした、上川アイヌの歴史や文化をたどり、体験を深めるモニターツアー「知る・見る・感じるカムイの世界 上川アイヌとこころ揺らす旅」が催行されました。
集まったメンバーはJR旭川駅からバスに乗り込み、上川アイヌの世界へ出発。車内はワクワクムードでいっぱいです。
身のまわりのありとあらゆるものに魂が宿ると考え、それをカムイ(神)と呼ぶ上川アイヌ。
今回のツアーでは、そんな彼らの心に触れていきます。
最初に訪れたのは、神居古潭。ここから上流に住むアイヌのことを上川アイヌ(ペニウンクル)と呼んでいます。
「この神居古潭には、人間に生きる知恵を与えた英雄神サマイェクルが住んでいるといわれているんですよ」と解説してくれたのは、旭川市教育委員会の友田さんです。
次に訪れたのが、チカプニ。石狩川に面してそそり立つ絶壁で、上川アイヌは、ここでは畏敬の念を込めて頭の被り物を脱ぎ、衣服を正したといいます。それにならって、みんなで祈りを捧げました。
嵐山公園に着いたのが、午前11時過ぎ。ここでは、伝統的なアイヌの人たちの住居「チセ」が復元されていて、中に入ることもできました。
ここで待っていたのが、アイヌの衣装を身にまとった旭川龍谷高校郷土部の生徒たち。
チセの中では、生徒たちがアイヌ語やアイヌの子ども遊びについて教えてくれました。
日本語とまるで異なるアイヌの言葉に、参加者はみんなビックリ、興味津々。そんな中、誰よりも早く覚えていったのが、山内くんでした。
「頭、鼻、手などのアイヌ語を覚えました!」と山内くん。
「好きなことは覚えるのが早いんだよね」と、お父さんも楽しそう。
遊びを通して、参加者の子ども同士も少しずつ打ち解けていったようです。
旭川龍谷高校の生徒と別れて、次に向かったのは川村カ子ト(かねと)アイヌ記念館です。
時間は午後12時半を回っています。ここで一旦お昼ごはんタイム。お腹がいっぱいになったら、身体を動かしてアイヌの文化を体験。教えてくれたのは、副館長の川村さんです。
実は今回のツアーの間中ずっと、案内役として一緒に着いて回ってくれた川村さん。参加者にとっては、すっかり頼れるガイドです。
体験では、手づくりの弓矢を放ったり…
輪投げ突き遊びをしたり…
古式舞踊を踊ったり…
最後は子どもたちがアイヌの衣装を身につけて、パチリと記念撮影! みんなどんどん仲良くなって、旅がますます楽しく感じられてきました。
午後3時40分に記念館を後にして、次の目的地である層雲峡オートキャンプ場に到着したのは、午後5時のことでした。ここで夕ごはんに、アイヌ料理をいただきます。作ってくれたのは、上川アイヌ協会の伊澤さん。
夕ごはんに出されたアイヌ料理は、全部で3種類。
自然の恵み、命の恵みへの感謝の気持ちをかみしめつつ、みんなおいしく完食していました。
この夜の宿泊先は、ホテル・ノーザンロッジ。それぞれの部屋へ行って、思い思いの時間を過ごします。
石黒さん親子に、この日の感想をうかがいました。「ごはん、おいしかったー! アイヌについては、4年生になってからテストにも出てきます」と娘さんが言えば、お父さんは「娘が行きたいと言ったので、今回参加したんです」。とても仲の良い親子で、初めての体験がいっぱいの旅を満喫している様子でした。
しかし、1日目の夜はまだまだ終わりません。午後8時からは、層雲峡商店街の大雪食堂前イベントスペースにて、再び上川アイヌ協会の協力の下、アイヌ古式舞踊体験が披露されました。アイヌの文化にたっぷりと触れ、1日目の夜が更けていきます。