さほろ酒造(上川郡新得町)/代表取締役 仲鉢孝雄さん (1)
さほろ酒造 代表取締役 仲鉢孝雄さんに、話を伺いました。
プロフィール
仲鉢孝雄(ちゅうばちたかお)
1953年、北海道上川郡新得町生まれ。自動車修理業を経て、87年に新得酒造公社入社。97年、同社と宮崎県の雲海酒造が合併、雲海酒造北海道工場工場長に就任。2011年に退職し、同年5月にさほろ酒造株式会社を設立、代表取締役を務める。
原材料には北海道産のそばやとうきびも
北海道の真ん中あたりに位置する新得町は、東大雪の山々と日高山脈の山間に広がる自然豊かな町です。このような恵まれた環境の中、「さほろ酒造」では、前身の会社の頃から数えるともう30年以上、本格焼酎を造り続けています。
本格焼酎とは、農産物を原材料に用い、醪(もろみ)を一度だけ蒸留する焼酎のこと。原材料となる農産物の風味や香りが残る、深い味わいが魅力です。
一番の売れ筋商品は、勝負ごとなどのゲン担ぎとしても喜ばれている道外産大麦の「十勝無敗(じゅっしょうむはい)」ですが、十勝産の農産物を使った焼酎ももちろんあります。
例えば、新得町産そば100パーセントを原料にした「トムラウシのナキウサギ」は、そばの名産地ならではの焼酎です。食べてもおいしいそばは、透明な焼酎になるとほのかに柿のようなフルーティな風味が楽しめ、特に女性に人気があります。
また商品名に入っているトムラウシとは、新得町にまたがる山の名前で、ナキウサギは氷河期から生存する、日本では北海道にしかいない生き物のことです。息の長い商品ができ、また会社が長く続くよう願いを込め、あやかってその名を借りました。
あとは北海道産小麦の焼酎もあります。これは試作の段階で、蒸留後に利き酒したところ、商品にするのは難しいのではと思ったほど風味がきつかったのですが、2カ月くらい熟成させたら一転。出来上がった小麦焼酎は、おどろくほど香りが良くなり、焼き立てのパンの風味が味わえるようになりました。お湯割りにするとテキメンです。
それから、とうきび(※北海道弁でとうもろこしのこと)焼酎「ほっかいどう」は、道産子が好きな、とうきびらしい甘い味わいが出るように造りました。うちの商品の中では、最も口当たりの良い酒ですね。
これらの焼酎の仕込みに使っている水は、大雪山系の天然水。この水が透明感のある味わいを生んでくれています。
(仲鉢さん談)