髙砂酒造(旭川市)/製造部部長兼杜氏 森本良久さん(2)

作り手は酒の原料に触れることが大事

森本さん

近年、酒造りの製造工程では機械化による合理化が進んでおり、私もそれは仕方がないことだと思っています。ただ一方で、麹(こうじ)作りや醪(もろみ)の温度の計測など一部の作業は、あえて人の手を使ってやっています。

温度なんてそれこそ機械で管理すれば楽だしもっと正確でしょうが、日ごとに変化する香りを嗅いで、ブクブクと発酵している様子を目で見ることは、造り手にとって大事なことなんですよね。

というのも、私たちは昼しか会社にいないし休みもあるけれど、酒を発酵させる麹菌などの微生物は、夜も休日も関係ない。酒造りというのはそういう生き物が相手の仕事なのでね。

実際、仕込みや醪の発酵がうまくいっていたとしても、搾ってみないと出来の良し悪しはわかりません。本当に何度やってもそうで、こういう面白い部分は、原料や醪に触れることで深く感じることができるんです。

蔵にあるお酒の貯蔵タンク

私が杜氏になった時代の北海道では辛口の酒が好まれましたが、最近はすっかり好みが多様化していて、販売されている酒の味もさまざまです。

豊富に商品をそろえる直売店「明治酒蔵」

おかげで、甘口が好きなのか酸味が強い方がいいのか、舌に合う酒を見つけるという楽しみが生まれました。当蔵の直売店でも試飲ができますので、自分の好みの味と出合ってください。

(森本さん談)